北原白秋のひとり言

ビイル樽

五十も六十もおんなじように見えてきた。
六十も七十も同級みたいなもんでしょう。
五十を過ぎたらおんなじ日暮れの坂道を
みんなで夕日に向かって歩きましょう。
みなさん今夜は春の宵、仲良く歩こうじゃないですか。
みんなの回りの影法師が長く伸びてついてくる。
いくら足を速めても、影を踏むなんてできゃしない。
こうやっていつの間にか下り坂にさしかかる。
これこそが人生というものじゃないですか。
こんな夜は、みんなでビールを飲みましょう。
ビールを飲んで、夕日の中を転げましょう。
白秋が詩ってくれた”ビイル樽”を歌いましょう。
コロガセ コロガセ ビイル樽、
赤い落日(イリヒ)ノナダラ坂、
トメテモトマラヌモノナラバ
コロガセ コロガセ ビイル樽、